新卒で会社に入社すると、入社式後のオリエンテーション等で様々な勧誘を受けます
がん保険や生命保険、確定拠出型年金に持株会などなど…
入社前に知識をつけておかなければ、自分にとって必要ないものに加入してしまう可能性が有ります
私はというと先日の記事でご紹介した通り、入社前にお金に関する勉強をしていたので、自分なりの考えを持って冷静に取捨選択できたと自負しています
今回はその中でも持株会について紹介します
持株会への加入は、資産形成の観点からは推奨できないという意見が多い印象です
自社への投資(自社株買い)ならではのデメリットがあったり、リスクが高くなりがちだからです
私的にも、「明確に加入する理由を説明できないのであれば加入すべきではない」というのが基本のスタンスです
しかし、そういった事情を理解したうえで私は持株会に加入しています
私が個別銘柄を買うのは配当金をもらうためです
弊社の株はその目的に適していると考えたので、デメリットとリスクを最小限に抑えつつ、おいしいところは頂いておこうという作戦です
私は以下の3点を意識して加入を決断しました
- 客観的に判断して弊社は投資対象になり得る企業である
- 高配当株として長期ホールドことが目的である
- 目標株数に到達したら速やかに退会してリスクを最低限にする
この記事では持株会のメリット・デメリットを紹介しつつ、私が加入を決めるまでに考えたことを紹介します
この記事の内容が、持株会加入の可否を判断するための材料となればうれしいです
それではいってみましょう!
持株会とは?
持株会とは一言でいうと、
給料から天引きで自社株を購入する制度です
これだけだと、
「わざわざ持株会に加入せず、自分で自社株を買えばよくない?」
となってしまうので、まずは持株会のメリットをご紹介したいと思います
持株会のメリット
特筆すべきメリットは以下の3点です
- 月々定額ずつの積立方式で購入できる
- 会社から奨励金が支給される
- インサイダー取引を疑われずに自社株を買える
もし自社の株を買いたいのであれば持株会を利用した方が、簡単かつお得に買うことができます
月々定額ずつの積立方式で自社株を購入できる
通常、日本の個別株を買う場合、基本的には100株単位で買うことになります
(日本株を1株単位で購入する方法もこの記事の最後で紹介しています)
例えば株価が1,000円の株であれば、買うのに必要な最低金額は100,000円となり、気軽に手を出せる金額ではなくなってしまいます
一方で、持株会では月々定額ずつ積み立てて自社株を購入できます
積立額は自分で決めることができ(私の会社では1,000円~30,000円の範囲で設定します)、決めた金額が毎月の給料から天引きされ自社株が購入されていきます
自分にとって無理のない金額から自社株を買えるので、自社の株価が高い会社に勤務する場合は特にありがたいのではないでしょうか
会社から奨励金が支給される
設定した積立額に対して所定の割合で奨励金が支給されます
そして、支給された奨励金を合わせた額が毎月の積立額となります
例えば、奨励金が10%と定められている場合、「積立額を毎月10,000円に設定すると11,000円ずつ積み立てられる」といった感じです
奨励金の割合は各会社ごとに決まっていると思うので、自社ではどうなのか確認してみてくださいね
ただし、奨励金は課税対象の所得となる点には注意です
インサイダー取引を疑われずに自社株を買える
自社株を売買する際、最も注意しなければならないのがインサイダー取引です
上場会社の関係者等が、その職務や地位により知り得た、投資者の投資判断に重大な影響を与える未公表の会社情報を利用して、自社株等を売買することで、自己の利益を図ろうとするもの
日本取引所グループより引用
インサイダー取引は市場の公平性を保つために金融商品取引法で禁止されています
簡単に言うと、「株価が変動するような未公表の情報を知った状態で自社株を売買のはズルいからダメ!」ということです
たとえ、株価に影響を及ぼす情報を知らない状態で株を買ったとしても、第三者が見てズルいと感じるような状況となってしまった場合、インサイダー取引を疑わる可能性があります
つまり、自社株を買う場合は他社の株を買うときよりも考慮しなくてはいけないことが増え、より慎重に売買を検討する必要があるということです
一方で持株会は、月々定額ずつ株を買い続ける制度なのでインサイダー取引を疑われる可能性はほぼありません
「月々定額ずつ株を買い続ける」となると、 ズルをしようにもなかなかできないですからね
インサイダー取引の観点から考えると、「自社株が欲しい場合は持株会を利用するのが無難」ともいえるのではないでしょうか
ここまで持株会のメリットを3点ご紹介しました
続いて、デメリットを紹介していきます
持株会のデメリット
持株会のデメリットは大きく括ると3つです
- 100株積み立てるまでは完全に自分のものにならない
- 保有している自社株を売れないタイミングもある
- 賞与と資産が同時に減少する可能性がある
持株会への加入があまりオススメされない理由は、メリットに対してデメリットの影響の方が大きいと感じるケースが多いからです
自分ならデメリットを許容できるかどうか、考えながら読んでみてください
100株積み立てるまでは完全に自分のものにならない
持株会に加入して購入した株は、持株会理事長名義で管理されます
そして、100株単位で自身の証券口座に引き出すことができます
裏を返せば、
100株積み立てるまでは購入した株を自由に扱うことができない
ということです
- 株を売ることができない
- 配当金は自動で再投資され、現金は受け取れない
- 株主優待を受けられない
とにもかくにも、100株貯めるまでは淡々と積み立てることしかできません
保有している自社株を売れないタイミングもある
コツコツと積み立て続けて、100株に到達!
やっと自分の好きなタイミングで株を売れるぞと思いきや、再びインサイダー取引に気を付けなくてはいけません
買うときだけでなく、売るときもインサイダー取引を疑われないように注意する必要があります
なぜなら、「会社の業績が悪化していることを職務上知ったので、決算で一般の株主たちにバレて株価が下がる前に売る」ということができてしまうからだと思います
一般的に、インサイダー取引を疑われない対策として決算の前後では会社から売買が禁止されることが多いようです
私の会社でも決算の2週間前から決算当日までは自社株の売買が禁止されます
自由なタイミングで売ることができないというのは大きなデメリットですよね
賞与と資産が同時に減少する可能性がある
持株会最大のデメリットがこれです
万が一自社の経営が悪化した場合、賞与と資産が同時に減少するかもしれません
さらに言うと、万が一倒産してしまった場合は、職と資産を同時に失うことになります
他社株を買うのと比較して、非常に大きなリスクがあるということです
持株会のメリット・デメリットまとめ
紹介したメリット・デメリットをまとめます
ここまでを踏まえると、
持株会とは…
自社株買いの高いリスクや不自由度を補うため、特典を付けたり制限を取り払ったりしてくれる制度
ともいうことができると思います
ここまでが持株会の概要紹介になります
持株会への加入を決めたポイント
私は持株会のメリット・デメリットを踏まえて、持株会に加入しています
記事の冒頭でも書いた通り、持株会への加入を決断する際に意識したことは以下通りです
- 高配当株として長期ホールドことが目的である
- 客観的に判断して自社は投資対象になり得る企業であるか
- 目標株数に到達したら速やかに退会してリスクを可能な限り小さく抑える
長期ホールドが目的である
そもそも、私が個別株を買う目的は長期ホールドして配当金をもらうためです
持株会への加入はこの目的を達成するのに適していると判断しました
長期ホールドが目的なので、持株会(自社株買い)のデメリットである「売るタイミングが制限される」ことは考えなくて良くなります
そして、株価の大小にかかわらず毎月買い続けるので、極端な高値掴みを回避することが可能です
100株貯めるまで辛抱する必要はありますけどね
とにもかくにも、弊社の株は私の投資の目的に合っている株であったため、よりお得にかつ手軽に自社株を買える持株会を活用しない手はないという考えに至りました
PS. 投資の目的は明確にしておこう
自社株であろうと他社の株であろうと株は株です
なので、持株会への加入を判断するとき最も重要なことは「自身が株を買う目的をブラさないこと」だと考えています
まずは自身の投資目的と照らし合わせて加入の可否を判断してみてください
自社をひいき目で見ない
自社の情報については、
- 就活を通して企業研究をした
- 入社前や入社後の説明会で詳しく話を聞ける
ということで、他の会社のことよりも良く知っているはずです
そのため、自社が投資をするのに的確な企業なのかを冷静に判断することができれば、大きなアドバンテージになります
とはいえ、
自社株買いはハイリスクな行動である
ということを絶対に忘れないことが重要です
自分のリスク許容度の範囲に収まるのかを、ひいき目無しに見極めましょう
私がリスクを判断するうえで行ったことは「自社と同業他社を比較する」ことです
IRバンクや同業他社と比較して、自社がどの程度の位置にあって、有利な点はどこなのか
また、見落としていた罠が無いかを探りました
結果として、配当金が連続増配の傾向にある事、財務が健全であること、設備投資を継続して実施していることなどが分かり、他社と比較しても同等かそれ以上に優秀な項目が多いと判断しました
私の場合は持株会で、リスクを上回るメリットを得られると考えています
リスクを最低限にすることを考える
くどいですが、もう一度
自社株買いはハイリスクな行動です
ということで如何にリスクを抑えて、持株会の特典をもらうかが重要です
私的には自社株の保有数を抑えてリスクを軽減しようと考えています
具体的な策としては
「100株に到達したら速やかに持株会を退会する」
ということです
投資におけるリスク軽減策の1つは分散投資です
まだまだ資産総額が少ないので、100株以上積み立てると自社株の割合が高くなりすぎてしまうので、100株以上は積み立てません
また、自社株はハイリスクということで、100株到達以後は自社株を増やしていくよりも他の株に資金を回した方が良いという判断です
持株会の退会時の注意点
持株会は一度退会すると二度と加入できません
これを考慮すると、退会するのを踏みとどまってしまいそうですが、100株に到達したら、私は強い意志を持って退会しようと思います
持株会に毎月いくら積み立てるべきか?
ここまで持株会に加入する前に確認するポイントを紹介してきました
最後に、加入するとしたらいくら分を持株会に回すべきか私なりの考え方を紹介します
- 絶対に無理をしない
- 1、2年以内に100株を目指す
まず、大前提として無理のない金額を設定すべきというのが最重要だと考えています
株の購入は余剰資金で行うべきであり、投資のために生活が回らなくなってしまったら本末転倒です
無理のない範囲で設定するのが最重要ポイントです
「今の生活は余裕だからいくらでも大丈夫なんだけど?」という方は、1、2年以内で100株に到達するような金額を設定するのが個人的なオススメです
なぜなら、持株会は転職をする場合に強制的に退会となるからです
転職する時に100株に到達していなかった場合、その時点の株価で強制的に売却され現金が戻ってきてします
転職のタイミングを柔軟に考えるためにも、なるべく早めに100株に到達させて自分の証券口座に引き込んでしまいましょう!
ちなみに私は上記で挙げた2つのポイントをちょうど満たせるような金額ということで、毎月1万円ずつ積み立てています
とにかく無理のない範囲で、自分に合った金額を設定しましょう!
番外編:持株会に頼らず日本株を1株から買う方法
持株会のメリットの1つは、100株単位ではなく月々定額で株を購入することができる点だと紹介しました
一方で、持株会では自社株しか買えないため、前述した通り、自社株特有のリスクを背負うことになってしまいます
持株会には加入したくないけど、日本の株も持っておきたい
でも、100株買えるだけの現金を用意するのは難しい
そんな時は、日本株を1株単位でも購入できる証券口座を利用しましょう
特定の証券口座を利用することで、持株会に頼らず1株から株を購入可能です
私が利用している証券口座は、SBIネオモバイル証券です
現在、1株単位で株を購入できる証券口座はいくつかありますが、
私がSBIネオモバイル証券を選んだ理由は、株の購入にかかる手数料が安いことです
一般的に株を購入する際は購入手数料がかかりますが、
SBIネオモバイル証券では手数料の代わりに月額利用料を支払います
そしてその利用料は、月間50万円までの取引であれば月額220円(税込み)
さらに、SBIネオモバイル証券で株の購入に利用できるTポイントが毎月200ポイント付与されます
Tポイントをうまく活用すれば、よりお得に利用できますね!
(SBIネオモバイル証券の口座開設はコチラから)
というわけで、株を数百円から購入する方法もちゃんとあるので、持株会への加入は慎重に検討することが大切です
まとめ
今回の記事では、持株会についてメリット・デメリットを踏まえて紹介しました
持株会とは…
給料から天引きで自社株を購入する制度
自社株買いの高いリスクや不自由度を補うため、特典を付けたり制限を取り払ったりしてくれる
メリットよりもデメリット方が大きくなるケースが多く、一般的に加入は推奨されていません
「基本的には加入をおすすめしない」という意見に賛成の立場ではありますが、私は加入しています
加入する際に考慮したことは以下の3点です
- 高配当株として長期ホールドことが目的である
- 客観的に判断して自社は投資対象になり得る企業であるか
- 目標株数に到達したら速やかに退会してリスクを可能な限り小さく抑える
可能な限りデメリットの影響を抑えつつ、メリットを活かすことができるのであれば加入しても良いのではないかというのが私の考えです
加入する場合は、自社を冷静に分析し、自分なりのルールを決めてからにしましょう
そして、加入を決めたら持株会への積立額はいくらにすべきか?
最も重要なことは、無理をしないことです
月々の給料と自身の生活水準を比較して冷静に判断しましょう
生活にある程度余裕があって、積立金をいくらにすべきか迷うということであれば、
1、2年以内に100株に到達できる金額を設定してみるのはいかがでしょうか?
100株貯まる前に転職をしてしまう場合、強制的に売却となってしまいます
100株貯めて、さっさと自分証券口座に引き込んでしまいましょう
以上、長々とお付き合いいただきありがとうございました
今回の記事は過去最長クラスですね
伝えたいことは網羅できたと思うので、ぜひ参考にしていただけると嬉しいです
持株会のメリットを活かして、自社株買いの高いリスクを許容できるかが加入の可否を決めるための分かれ目だと思います
活かせる制度はうまく活かして、自身の資産形成の助けにしていきましょう!